模試で結果がなかなか出ない...。
うちの子はもう6年生。
頑張っているはずなのに、偏差値が伸びてこない...。
周囲の子も頑張っているから仕方ないのかもしれないけど、このままでうちの子は大丈夫なのかしら...。
もしかして、親のサポートの仕方がいけないのかしら...。
こういった不安にこたえる記事です。
この記事でわかること
- 直前に伸びる生徒の保護者は、余裕のある振る舞いをみせていることがわかる
- 直前に伸びる生徒の保護者は、作戦を慎重に立て、行動を大胆にとれることがわかる
- 慎重な作戦の立て方、行動への移し方がわかる
- 直前の伸びは、子供の心理的安全性が保たれた状態で出力されることがわかる
- 第一志望や第二志望のことばかり考えていると、高確率で失敗することがわかる
- 早めに始めるよりも、丁寧に固めることの方が大切なことがわかる
- 受け入れることで、誰でも2月の勝者となれることがわかる
目次
筆者の紹介
こんにちは。中学受験のキモチです。
文面を見て、私を誰だか察してしまう人がいるかもしれません。
地域では、ちょっとだけ有名な塾講師です。
一部ですが、中学受験指導での実績を以下に挙げておきます。(今後、もっと結果を出せるよう頑張ります。)
- 首都圏模試で偏差値53から、偏差値73の男子校に合格
- 首都圏模試で偏差値29の状態から、1年で偏差値53の中学に合格
- 6年生の9月から中学受験をスタートし、志願倍率20倍の2科受験で特待生合格
- 第一志望を含め、記念受験の挑戦校すべてに合格
こんな私が書いた記事ですので、信ぴょう性があるかと思います。
最も伸びるのは本番直前!親が持つべき重要な考え方
結論、中学受験生が最も伸びるのは本番直前の2週間前です。
塾講師の目線から見てですが、最後の最後で急激な伸びを見せる子が出てくるのです。
最後の最後で急激に伸びる生徒の保護者には、共通するポイントがあることを以下で解説していきます。
そもそも、直前期の伸びとはどんなもの?
模試の成績だけでは分かりにくい、直前期の伸びは以下のようなものです。
- 過去にできていなかった問題が、いつの間にかできるようになっている
- 過去問で間違えていた問題を、細かく覚えている
- 過去問の形式に慣れて、点数が合格者平均点を超えるようになっていく
- 問題を見た瞬間に、答えに関する仮説を口にするようになる
- 自分のための受験であると同時に、誰かを喜ばせたい気持ちを表明するようになる
模試の成績だけではなかなか見えてこない部分で、急激に成長するのが中学受験生です。
以前はできていなかった問題ができるようになっていたり、模試で間違えた問題を覚えていたことで入試本番で同じ問題を正解したりと、想像もしない伸び方をするケースがほとんどです。
勉強の技術だけでなく、誰かへの感謝の気持ちを口にするようになっていく姿もありました。
直前に伸びる生徒を持つ、保護者の共通点
結論を先に述べます。
直前の伸びは子供だけの問題ではなく、保護者の関わり方が大きく関係していると、私は考えています。
大人の目から見るとまだまだかもしれませんが、受験生はいつでも頑張っています。
子供の頑張りを生かすも殺すも、親の関わり方・接し方が重要かと、私は思います。
基本的に余裕がある
まず、直前に伸びる生徒の保護者ほど余裕がある傾向が見られます。
具体的には、以下のようなことが自然とできているのです。
- 模試は模試と割り切って、淡々とやり直しを考えられること
- 日々のタスクが終わらなくても、いつまでに終えられそうか冷静に話し合おうとすること
- 触れられる内容が狭くなっても、定着するまで徹底しても良いと考えられること
- 頑張りが反映された場所を見つけて、頑張った過程をほめること
余裕のあるスタンスを見せている保護者と生徒は、直前で一気に力を伸ばしてくる印象が強いです。
また、焦ってなんでもかんでも手を広げようとしているご家庭ほど、普段からの定着も渋い傾向にあります。
やろうと一緒に決めていた日々のタスクが終わらないことに対して、冷静に話し合おうとしました!
それでも嘘をついて答えを丸写ししたり、何度も言わなきゃいけなかったからいつも叱っているんです!
それでも親に余裕が無いって言うんですか?
はい、余裕が全くありませんね。
そもそも、子供が嘘をつかなきゃいけないようなコミュニケーションをした大人に問題があるのです。
余裕のあるコミュニケーションとは、子供が安心して心の内をさらけ出せるようなコミュニケーションです。
あなたにとっての「冷静な話し合い」は、子供にとっての冷静では無かったようですね。
自分の感情しか見えていないと、余裕の無い言動につながってきますよ。
作戦を慎重に立てて、大胆な行動に移せる
伸びる生徒の保護者は普段から余裕がある反面、作戦を慎重に考えているのも共通点です。
「作戦を慎重に立てる」とは、具体的に以下のようなことを指します。
- 最悪の状況を常に想定しておく
- 偏差値30台後半から1個、40台前半から2個、50台から3個、60台から3個といったように学校をピックアップする
- 選んだ学校の中で、どこに合格したとしてもOKのスタンスを取る
特に大切なのが「選んだ学校の中で、どこに合格したとしてもOKのスタンスを取る」です。
この思考ができれば、どこの学校に合格しても「2月の勝者」になれると思います。
大切なのは中学入学以降です。
実際に、その後の方が人生は長いのです。
目の前の結果についてとやかく言うのではなく、これからも頑張れるように、頑張った過程をほめることが何より重要です。
中学受験で第一志望に通らなくても、東大・京大や医学部医学科へ進学する人がわりと多いのも事実です。
結果以上に「頑張り方」を身に着けることができた生徒は、大学受験で花が開きます。
そういった意味でも、中学受験は通過点でしかありません。
早く始めるのが良いとは決して思っていない
早く始めることよりも、丁寧に固めていくことが重要です。
焦って何事も早めに手を出させようとすると、大抵がうまくいかないでしょう。
のんびりと構えていた保護者の子供が、後から急に伸びてくることも珍しくありません。
早めにやった方が良いのは得意分野と不得意分野の可視化です。
これは親を含めた大人の仕事でしょう。
もし、低学年で中学受験を考えている保護者の方がいたら、ぜひ以下のリンクを教えてあげてください。
低学年から本格的な受験勉強を始めるのは、非常に危険です。
本格的な受験勉強は、早くても4年生からで大丈夫です。
過去に見てきた悪い考え方の例
よくある保護者側の失敗例が以下の通りです。
- 親が第一志望と第二志望のことしか考えていない
- 落ちたら地元の公立中学で良いと言いながら、執念深く、しつこい。
- 理想的な状況が現実に起きると思い込んで、実際の成績ギャップに発狂している
すべて余裕の無さから来るものでしょう。
子供が泣きそうな顔をしながら、
「間違えたらお母さんに怒られるから、何も書きたくない。」
と言う姿を、私は二度と見たくありません。
親が情緒不安定になると、子供の心理的安全性が崩れます。
余裕のある保護者は子供を常に尊重しています。
子供に余裕ができると、勉強での失敗を恐れにくくなり、チャレンジしたくなる気持ちを作ることができるのです。
引くに引けない状況もあるでしょうが、保護者が焦る場面ほど落ち着いた対応が必要です。
また、理想(妄想)を現実と勘違いし、発狂しながら子供の勉強に介入している例は、まさに最悪の状況でしょう。
最後の最後に起きた、逆転合格体験談
過去に担当させていただいた生徒の保護者の方とのお話を、一部抜粋して紹介させていただきます。
話を分かりやすくするために、一部編集を加えています。
今回紹介する話の他にも、計算に対する考え方や、低学年のときにやっておいた方が良いことなど、参考になる話ばかりです。
別の機会に、今回紹介する保護者の方と公式なインタビューの場を設けられればとも考えています。
いつも貴重なお話をありがとうございます!
いえいえ。こちらこそありがとうございます。
先生と一緒に過去問をやってもらっていたのを、つい昨日のように思い出します。
あの状況から本当によく頑張りましたよね。
小6の4月のSAPIXオープン模試で、偏差値41とかでしたよね。
そこからSAPIX偏差値で60近辺の中学によく合格したよなあと...。笑
当時、心がけていたこととかはありましたか?
あのときは私がぶれてはいけないと思っていました。
そして、子供には常に笑顔で声をかけることを心がけていました。
成績が伸びなくても、頑張りが反映されていた部分を見つけてほめることで、自然とお互いが笑顔になれたと思います。
日々のやるべきことがどうしても進まないときは、割り切ってリフレッシュしてもらっていました。
むしろ、その方が本人が焦って勉強に向かっていたように感じます。笑
志望校については、どのように考えて決めていきましたか?
子供の性格と照らし合わせて、2/1~2/5で受験候補の学校を、偏差値30~50台の中から4校決めました。
その後、1月受験校を合格可能性80%以上の学校から1校選びました。
さらにそこから、埼玉・千葉の本命校を1校ずつ考えるといった流れです。
もちろん、学校見学にも行き、子供からのリクエストもあわせて一緒に決めました。
ここに合格できなかったらダメだ!といった気持ちはありましたか?
いえ、それは間違っても無かったです。
全落ちしないように、かつ、合格した学校にご縁があると考えていました。
「受ける学校はすべて第一希望」といった気持ちで、常に考えていたと思います。
また、偏差値がどうこうよりも、入学後に子供が楽しそうに過ごしている姿をイメージできるかどうかが大切だと思います。
1年間、お母様は良い意味で力が抜けていた印象です。
そんなお母様でも、焦りやもどかしさを感じることはありましたか?
焦りや不安を感じたことはもちろんあります。
ただ、私の気持ちよりも子供の将来の方がずっと大切だとも思っていました。
子供にとって安心できる接し方をすることが、子供の将来を守ることにつながるのかなと。
模試で良い結果は見られませんでしたが、ゴールは子供の笑顔と考えて私も笑顔でいることにしました。
素敵すぎます...!
最後の最後で、模試の成績からは信じられないような結果を見ることができたわけですが、その時の気持ちを教えてください。
本当に信じられなかったです。
子供も「こんなあっさり終わっていいの...?」と言っていたくらいでして...。
特に、2/1の試験は
「1月で合格しているし、やるべきことをやれたからいっか!」
といった気持ちでの出願だったので、本当に驚きました。
ずっと笑顔でいたことで、最後に神様がご褒美をくれたのかなと思います。
素敵なお話をありがとうございました。
今回の話を別の保護者の方や、関係者の方に共有してもよろしいでしょうか。
もちろん大丈夫です。
こちらこそありがとうございました。
まとめ・最後まで目を逸らさず読めたなら、きっと大丈夫
結論は以下の通りです。
- 最悪の状況を想定し、作戦を慎重に立てること
- 親が堂々として余裕を持って振る舞うこと
- 受験が終わってからも頑張ろうと思えることが、結果以上に大切なこと
- 結果ではなく、頑張りそのものを褒めること
- 受け入れることで「2月の勝者」になれること
ここまで目を逸らさず読むことができた方なら、きっと大丈夫だと思います。
進学する学校や自分を受け入れて、友達と一緒に精一杯頑張ることができれば、その状態こそが「2月の勝者」です。
この記事を最後まで読んでくれた保護者や受験生が、笑顔で中学校に入学できることを願ってやみません。